2016年01月28日

大盛況!第2回★DDT エルタイルズ大会

エルタイルズ大会開催当日は、数日前から寒波の影響で雪になる心配もあったものの、何とか開催出来そうな様子だったので、朝からゲームマーケット神戸用に準備中のタイルの予備を使い、ソリティアセットも作成完了。

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時間のあるときに抜いていたタイル群。

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大会参加者で欲しい人に配る予定。

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設営準備のため、開始1時間前の予定が10分遅れで到着。

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ドキドキ!

到着するとちょうど店長のちむさんと前回も参加して下さったあきたけさんが、世界の七不思議:デュエルの対戦中。

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お店の窓際にはなんと嬉しい飾り付け。

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トイレにもw

ちむさん、ありがとう!!

参加者状況によると予定していた16名には達しなかったものの、店長のちむさんとスタッフ要員の職場の新人くんが加わり、総勢12名で開催できることに。

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有志の方からもお借りして揃えました。

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エルタイルズをプレイするのが初めてという方が数名いらっしゃったので、前回同様マグネット版を使ってゲームのインスト&大会形式等の説明。

前回は15名による【3人戦×3回戦】という構成でしたが、今回は12名(2回戦から2名が交替となるため、実質上は14名)による【2人戦×4回戦】。
果たしてどんな熱い戦いが繰り広げられるのでしょうか!
そして優勝の栄冠は誰の手に!

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12名の内訳は前回参加者が3名、それ以外に経験者6名、初心者4名(2回戦から1名交替)。12名中4名(2回戦から1名交替)が女性でした。

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店長ちむさん(ヒント:セクシーセーター)と新人くん(ヒント:ボーダー柄セーター)も参戦!

■第1回戦

【A卓】番茶(赤)VSかえで(青)
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今回が初プレイの番茶さん。お笑い界に詳しいあきたけさんから「あの人、芸人さんですよ!」と紹介されてびっくりwそういえば始終にこやかな表情をされていていました。
6点エリア(10ブロック)、最大+最多エリアボーナスまで獲得するものの、かえでさんのガンガン攻めるスタイルに屈し敗北。

【B卓】すねあーず(赤)VSいかまい(青)
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いろんなイベントでお見かけしているのにお名前が覚えられなかった、すねあーずさん。一方現在中学2年生のいかまいさんは、たるさんさんのお嬢さんで、なんとも微笑ましい父娘での参加です。

この対戦が凄かった!いかまいさんはお父様と良く遊んで下さっているらしく、少ないエリア数で高得点を目指す打ち方。すねあーずさんは出来るだけエリア数を増やす打ち方で、お互い通常のエリア点は同点。シンボルボーナス4つも痛み分け。しかもバーストエリアの分で最大ボーナスはいかまいさん。最多ボーナスはすねあーずさんが獲得し、なんと1回戦目からタイブレーク!

ルール上、1番最初に判定の対象になるのがエリア数で、少ない方が勝者となるため、すねあーずさんの8エリアに対し、いかまいさんは6エリア。
結果、軍配はいかまいさんに。

【C卓】紅(黄)VSごう(赤)
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DDTでは特にトリテを教えてもらって良くして頂いている紅さんと、今回初プレイとなるごうさん。6点エリアも取ったりと、通常のエリア点では紅さんを大きく上回るものの、シンボルボーナスを逃し、最大・最多ボーナスを紅さんに取られたため、大きく差が開く結果に。
実はシンボルボーナスは3つ以上隣接(実際は4つ以上)で達成だと思い込んでいたというごうさん。
次は勘違いしないでくださいねw

【D卓】K(黄)VSちむ(赤)
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前回に続いてエントリーして下さったKさん。望んでいた参加人数に達しなかったため、店長のちむさんに入って頂くことに。初版時代からこの作品を応援して下さっているちむさんが1枚上手だったようで、Kさんがバーストさせたエリアで最大ボーナスを獲得し、シンボルボーナス×2と6点エリアで勝利を決定付けたちむさん。

【E卓】神代(黄)VS新人(青)
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以前、お店でエルタイルズを猛PUSHしてお越しになったお客様に勧めて下さった神代さん。そしてちむさん同様、大会スタッフとしてではなく、プレイヤーとして入ってくれた同じ職場の新人くん。小刻みにエリア数を増やしていく神代さんに対し、上手く立ち回って3点エリアを量産。
最終的に最大・最多ボーナスを神代さんに与えたものの、効率良くまとめた新人くんに軍配。

【F卓】(赤)あきたけVSたるさん(黄)
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最終写真撮り忘れorz
前回大会経験者同士の一戦。
あきたけさんは先程の新人くん同様、3点エリアを量産して6つまで伸ばし、1点エリアと併せて計8エリア。一方、第1戦をタイブレークの末、勝ち取ったお嬢さんのいかまいさんに続きたい、たるさんさんも1点エリアと3点エリアを同数伸ばし、こちらも8エリアとお互い高得点が期待できそうな展開。しかしシングルボーナスを4つまで完成させたあきたけさんが、最後に最大・最多ボーナスをものにした、たるさんさんの追撃を退け、最終的には大量得点で勝利!

第1回戦の対戦結果表

■第2回戦

【A卓】あきたけ(青)VS紅(赤)
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初戦突破した者同士の1戦は力が入りました!1点エリアは4つずつ、6点エリアは1つずつ。3点エリアのみ紅さんが上回り、最多ボーナスまで獲得するも、シンボルボーナスでその差を帳消しにし、最大ボーナスを獲得したあきたけさんがエリア数の少なさで接戦をものに。

【B卓】かすみん(赤)VSいとう(青)
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ちょうど1回戦終了直後に来店された、かすみんさんといとうさん。経験者かすみんさんの要望で、ちむさん→かすみんさん、新人くん→いとうさん、という形でバトンタッチ!いとうさんにインストした後、さっそく対戦。初プレイながら6点エリア×2はお見事!しかしかすみんさんのシングルボーナスの獲得数による9点差が痛かったいとうさんの敗北。

【C卓】いかまい(黄)VSかえで(赤)
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こちらも初戦突破同士の1戦。お互いほぼノーガードを思わせる得点の取り合いで、いかまいさんのシンボルボーナス×5は大会最多。一方、3点エリア×5で応戦するかえでさん。最大・最多ボーナスはそれぞれ分け合い、最後はなんと1点差でかえださんの勝利。善戦空しく1敗を屈したいかまいさん。

【D卓】すねあーず(黄)VS番茶(赤)
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エリア数を増やしてボーナスまで確定させたすねあーずさんに対し、少ないエリアでシンボルボーナスを絡ませた番茶さん。バーストさせられたおかげで最大ボーナスを獲得して同点に追いつき、エリア数の少なさで嬉しい初勝利。惜しくも勝利を逃したすねあーずさん。
※後日提出して頂いたスコアシートと最終形の写真を照らし合わせた結果、得点計算に誤りがあり順位こそ変わるものの、幸い大会を左右するものではなかったので訂正。

【E卓】たるさんVSごう
※写真撮り忘れorz
プレイ経験の差がで出た1戦。2回バーストさせられ、エリア数が大きく下回ってしまったごうさん。1回戦で落とした星を取り返したたるさんさん。

【F卓】K VS神代
※最終形撮影が間に合わずorz
1点エリア(4〜6ブロック)を量産して最多ボーナス、12ブロック(1点)で最大ボーナス、更に6点エリアの獲得で勝利し、1種1敗の五分に戻した神代さん。Kさんは痛い連敗。

第2回戦の対戦結果表

第2回戦の終了時点で2勝はあきたけさん、かすみんさん(ちむさん)、かえでさんの3名。
このあとの後半戦でぶつかり合う3名の結末はいかに!

■第3回戦

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【A卓】あきたけ(青)VSかえで(赤)
両者同士のハイスコアの伸ばし合いは、あきたけさんが第2回戦C卓のいかまいさんと同じくシンボルボーナス×5が効いて、かえでさんとの差を広げることに。これであきたけさんは決勝進出!

【B卓】たるさん(青)VSかすみん(赤)
前回の3人戦では全3戦して7/15位ながら、総得点では第2位のたるさんさん。そんなたるさんさん相手に最大・最多ボーナスをかっさらい、大差で勝利。ちむさんからのバトンを受けたかすみんさんも決勝進出!

【C卓】番茶(青)VSいとう(赤)
第2回戦に続いてせっかくの20点越えも、番茶さんに6点エリアを3つも与えてしまったいとうさん。同じく第2回戦でタイブレークをものにし、嬉しい2連勝の番茶さん。

【D卓】K(青)VSごう(赤)
まずは1勝をあげたい連敗同士の1戦。残念ながらこの3回戦は最終形の写真をほとんど残せず、この1戦の結果から、一体何が起こったのかとても興味深いwおそらく分断されまくったのではと予想。詳しくは下記の対戦結果表で。

【E卓】紅(青)VSいかまい(黄)
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今大会屈指の名勝負!1点エリアは1つずつ。シンボルボーナスも2つずつ。全く無駄のない攻め方で3点エリアを増やす紅さんに対し、3点エリアの数は紅さんに劣るものの、6点エリアの獲得で1点リードのいかまいさん。しかし最大エリアはお互い分けるも、エリア数が1つ勝った紅さんに最多エリアボーナスが渡り、これが決め手に。もしタイブレークならいかまいさんの勝利でした。ベストを尽くしたお二人に拍手‼‼

【F卓】神代(青)VSすねあーず(赤)
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本来の神代さんを垣間見た1戦。前2戦ともタイブレーク負けという悲運のダルタニアン(大の三銃士好きw)すねあーずさん。今回も神代さんの最大・最多ボーナスの前に沈み、2点差ながら悔しい3連敗。

第3回戦の対戦結果表

いよいよ最終の第4回戦!
決勝戦はお互い全勝のあきたけさんVSかすみんさん(第1回戦のみちむさん)。
3位争いは2勝1敗のかえでさん、番茶さん、紅さん、神代さんの4名。

■第4回戦

【B卓】ごう(青)VSいとう(赤)
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未だ初勝利が遠いもの同士の対戦(いとうさんは第2回戦から参戦)。決勝卓のお隣だったため、新人くんの収録映像にお二人の会話が。

ごうさん「今日一番面白かった!」「1点差で勝った!」
いとうさん「1点がorz」「歴史に残すときはこっちでいいんじゃないですか」

たしかにお二人はこの試合が1番ベストといえるほど白熱した戦いでした(始終賑やかでしたがw)。
ごうさんの1点エリア×1、3点エリア×3に足し、いとうさんは3点エリア×2、6点エリア×1。バースト、シンボルボーナスは全く同数。最多ボーナスはお互い取るも、今大会最多ブロック数19という嬉しいやら悲しいやらwで最大エリアも取ったごうさんが1点差で勝利!

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といきたいところですが、お二人のスコアシートへの記入に大きな計算ミスがあり、後日計算し直した結果、
なんと!いとうさんが8点差を付けての勝利でしたw
なかでも、1つのエリア内で複数のシンボルボーナスは獲得できないというルールをお忘れだったようで、それ以外にも数カ所計算間違いが。ごうさん、初勝利ならず。

【C卓】すねあーず(黄)VSかえで(赤)
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惜しい試合が続くすねあーずさん。対するかえでさんはここを勝てば3勝目。ほとんど互角の勝負だったのですが、シンボルボーナス1つ差でかえでさんの勝利。
最後も神は味方せず。残念ながらすねあーずさんの初勝利は次回以降にお預け。

【D卓】番茶(黄)VSいかまい(赤)
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こちらも獲得したエリア数、ボーナス等の構成は違えどほぼ互角。3点エリア1を1つ分上回ったいかまいさんの勝利。仲良くどちらも2勝2敗で終了。

【E卓】K(黄)VSたるさん(青)
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3点と6点エリアの数で上回ったたるさんさん。バーストによって最大ボーナスを得たKさんを寄せつけず。
たるさんさんは嬉しい2勝目!

【F卓】神代(赤)VS紅(黄)
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勝てば3位の可能性もある両者の戦い。エリア数を次々と増やす戦法の神代さん。しかし、一貫して効率よくエリアの大きさを広げて点数を伸ばした紅さんは3勝目。3位確定となるか!

【A卓/決勝卓】かすみん(青)VSあきたけ(赤)



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この決勝卓だけは別次元の戦いで、新人くんの実況通り、お互いシンボルボーナスを絶対に取らせない打ち方を意識した結果、最後まで気を抜けない展開で、まさにがっぷり四つ!
あきたけさんが最後の1手を打つ瞬間は本当にドキドキです。
第2回戦から参戦して下さったかすみんさんの勢いは目を見張るものがあり、大会を大いに盛り上げて下さいました。
結果は18対18でタイブレーク時の判定により、かすみんさんの8エリアに対し、2つ少ない6エリアでまとめたあきたけさんの勝利!

栄えある「第2回★DDT エルタイルズ大会」の優勝者は、あきたけさんに決まりました。

第4回戦の対戦結果表

他の卓は既に試合を終えていたので、急いで集計作業に移り、約5分後に結果発表。

順位表

まず、参加者全員の順位を読み上げたあと、店長のちむさんよりお店で用意して下さった賞品の中から1位のあきたけさんが選んだものは。

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キャット&チョコレートの秋口ぎぐる先生×MoBGAMES宮野さんの「ゾンビタワー3D」でした。
そして残った賞品に私が用意した賞品を加え、それらを賭けてあきたけさんが20面ダイスを振り、半数以上の方が何らかの賞品をGET!

最後に急遽用意したエルタイルズのソリティアキットも欲しい方の手に渡り一安心。

【総評】
エルタイルズは3人戦でのバランスが良い、という評価を周りから頂いている中で、2人戦の大会を開催するというのは一つの冒険でした。
ただ元々は2人専用としてテストを重ねて来ましたので、2人の方が人数の調整も容易で大会向きではあったと思います。
実はこのゲームは後手が最後に得点を決定できるため、後手がかなり有利ではという意見も多々あり、今大会では、先手に何らかのハンデを付けるべきか、随分悩みました。
しかし、参加者の1/4が初心者であったこと、ハンデを付けることにした場合、データ不足で最適なハンデポイントを算出できないため、ハンデ無しにしました。

数試合の再判定前は全24戦中、先手12勝、後手12勝と全く差がなく、再判定後、先手14勝、後手10勝という結果になりました。、もう少しデータを取ってから、果たしてハンデを付けるべきか否かを決めたいと思います。

また今大会は専用のスコアシートを各卓毎に配り、勝敗判定は各プレイヤーに委ねたため、提出されたスコアシートに得点計算を誤った結果が記入されていたケースも幾つかあり、後日、改めて再計算後順位変更を行いました。
幸い優勝を左右することにはなりませんでしたが、今後は間違いのない計算方法の説明をしっかり行い、改めてジャッジ等の必要性も感じました。

例えば、正確な最終形を残すためには、試合終了後、得点計算前に写真を取り、次の対戦の組み合わせが決定するまでに、提出されたスコアシートと照らし合わせ、間違いが無いかジャッジ役が再確認する、というようなことです。ただ余りこればかりに時間を取られてしまうのも問題ですが。

今大会では前回の3人戦よりも真剣味の溢れる様子が伺えました。
初心者の方は最初は得点するのにかなり苦労されていたようでしたが、後半戦では上達されていたのが良く分かりました。
タイブレークも数試合あり、特に決勝戦でのタイブレークは熱戦でした。

大会終了後は各々お店にあるプレイスペース用のゲームを遊ばれており、特にたるさんさん&いかまいさん父娘がテーブルいっぱいにコンポーネントを広げ、アルルの丘を楽しんでおられたのが印象的というか、これもボ育てというのでしょうかw 

長々とお付き合い頂きありがとうございます。
上記の反省点も踏まえて、今大会で経験したことは、次回大会への糧とさせて頂きます。

開催において御協力下さったDDT様、ちむ店長様、悪天候の中、ご参加頂いた皆様、スタッフとして頑張ってくれた職場の新人くん。

ありがとうございました。

あとここからは宣伝になります。

2/21(日)に神戸国際展示場(3号館)で開催される、ゲームマーケット2016神戸では、先日のゲームマーケット2016秋の新作「三忍者」以外に、少部数ではありますが「エルタイルズ基本セット」&「拡張セット」を【E40】ゲームNOWAブースにて出展します。
もし良ければお立ち寄り下さい。
お待ちしております。

posted by かぶけん at 22:10| Comment(0) | エルタイルズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月17日

「第2回★DDT エルタイルズ大会」について。

先月あたりからTwitter等では呟いていたのですが、告知が遅くなり申し訳ありません。
昨年6月下旬に開催しました『第1回★DDT エルタイルズ大会』から早7ヶ月。
今回も大阪長堀橋のボードゲーム&フィギュアショップ『DDT』様の協力を得て、第2回大会の開催が決定しております。

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【第2回★DDT エルタイルズ大会】
開催日時:1月23日(土)午後2時〜5時まで
開催場所:大阪長堀橋のボードゲーム&フィギュアショップDDT(地下鉄長堀橋駅からの道順
参加費:プレイルーム料金のみ
定員:16名
大会形式:スイスドロー方式による2人戦×4回戦(大会の詳細についてはこちら)。
※豪華賞品あり!
※ゲームのルール説明も行ないますので初心者の方も大歓迎です。
安心してご参加ください。

只今参加者募集中!!

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大会参加を希望される方は、店長のちむさんまでご連絡ください。

前回の様子はこちら
エルタイルズの遊び方、ルール等につきましてはこちらをご覧ください。

posted by かぶけん at 19:20| Comment(0) | エルタイルズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月20日

1つのアブストラクトゲームができるまで

この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2015 の第19日目の記事として書いたものです。

※最初にお断りしておきますと、私には文章だけでお伝えできるスキルがありませんので、画像やリンクを多用させて頂くことをご了承下さい。

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■はじまり
国内最大規模のアナログゲームの祭典である、「ゲームマーケット」というイベントが、今までは東京でのみ開催されていたのですが、2012年から大阪でも開催されることになり、その時、「ゲームNOWA」という創作アナログゲームの個人サークルを立ち上げて初参加して以来、コツコツと地味な作品を作り続けている、かぶきけんいちことかぶけんです。

昨年の Board Game Design Advent Calendar 2014 に参加された方々の記事を拝見し、とても面白い内容ばかりで良い刺激を受けたのですが、自分にはネタになるような引き出しがほとんど無く、また中身のある文章など書いたことがなかったので、「ずっと読み手側」でいようと思っていました。
ただ、ある1つのアブストラクトゲームについて、いつか書こうと思っていましたので、この場をお借りして書いてみることにしました。

2013年のゲームマーケット秋に出展したエルタイルズという、各自が自分の担当する色のL字形タイルを配置しながら、「エリア」とよばれる陣地を広げ、その大きさに応じて獲得した得点の合計を競う、1種の陣取りゲームが、どのようにして生まれたか、またどのような経緯で現在まで至ったのか。

※アブストラクトゲームとは完全情報ゲームで、偶然要素が無いと定義にあるのですが、エルタイルズはストックとなる、24枚の裏向きになったタイルから5枚を手札として持ち、自分の手番に5枚のうち1枚を場に出してその後ストックから1枚補充する、というスタイルであるため、この定義からは外れるのですが、大好きなアップタウン(リメイク名:ジョイントブロッカーズ!)という作品がアブストラクトとあるので、1種のアブストラクトと思って下さいw

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■きっかけ
2作目まではイラストのみ(資金不足のため)を外注し、それを覚えたてのアートワークで形にしていたのですが、先方が多忙だったこともあり、3作目は自分ですべてデザインしてみたところ、試行錯誤しながらも何とかモノになったため、調子に乗って4作目もチャレンジすることにしたものの、2013GM秋まで残り3か月。
テーマ(システムから作ることはほとんどありません)が全く思い付かず、それならいっそのことノンテーマでインストも簡単なアブストラクトなものなら間に合うかも、ということで最小限の情報のみを詰めたタイル配置ゲームに決定しました。
ただそれだけだと本当に地味なものになりそうだったので、既存の四角形を隣接するだけでは作れない隙間を上手く利用して陣地を伸ばしていく、というアイデアを思い付き、それで進めていくことにしました。

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(初版新版々々の順に並べてみました)
■百均ショップ
ちょうどお盆休みに入ったところで、いつものように妻の実家へ車で帰省することになり、1泊するならこの機会を利用しようと、データに関しては既に紙出力まで終えていたので、あとはそれを厚紙に貼って切るだけでしたので、途中に百均ショップに立ち寄り、忘れてきた小道具を買い足したあとにそこで目にしたものは!?

約30p×約10pサイズの粘着付きマグネットシートという、充分厚紙の代わりになるどころか、カットに便利な方眼目盛り付きという優れものでした。厚紙よりも強度と重量感があり、磁石なので片づけるも楽なので、マグネットシートとの出会いは衝撃的でした。
しかし、この出会いが後に本業まで影響を及ぼすことになるとは思いもしませんでした。

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■初テストプレイ
妻の妹の旦那さんと息子と私の3人で。これが最初で最後の3人プレイテストになりました。(3人以上でテストできる環境がないため)自分の担当色のブロック(正方形)をつなげてエリアを広げていくという、このゲームの原型はその後も変わりませんでしたが、まだこの頃はあの得点システムやシンボルといった仕掛けはなく、面白味を見出すのが困難でした。

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■友人と2人テストプレイ
妻の実家から帰って来ると、1作目から飽きもせず付き合ってくれる唯一の友人宅でのテストプレイを開始。
L字形に切るのが面倒だったので四角形でチャレンジしてみることに。担当色別にシンボル(赤=○、青=□、黄=△)を入れてみたのは、裏面が同じだったので、表面には単色以外に混色も存在するので見分けを付けやすくするためだったのですが、このシンボルが、ある一定数以上隣接するとボーナス点が貰えるというアイデアが浮かびました。

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ただこの状態では、ボードにある枠というものが存在しないため、これ以上おけないという制限がなく、どこにでも置けるという自由度が増すだけだったのと、四角形のままだとタイルの置き方にも面白みがありませんでした。ちなみに奥の白いタイルスタンドのようなものは、印刷済みのコピー用紙を折ったもので、これが後の色画用紙を手織りしたタイルスタンドになったのです。

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■再びL字形に
やはりL字形の方がこの形状を上手く利用した置き方ができるために所々に隙間ができ、良い意味で嫌らしさが増しました。ただこの時点では広げすぎると減点、失点するという制限がなかったため、一度離されると追いつけないことが多々ありました。

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■得点システム
エリア(陣地)の大きさによって得点に差をつけることに決めてからはスムーズに事が運んで行きました。
0-3ブロックは得点にならず、4-6ブロックでようやく1点、7-9が3点と、6と7とでは2点の差を付け、10ブロックに特別な意味を持たせたかったので、9と10とでは3点の差を付けることにしました。ただここからが難航しました。

書き忘れていたことがありまして、少なくとも一辺が場にあるタイルと隣接しなければならないという置き方の制限はあったのですが、それだけだとほぼ自由におけるのと、先程も述べたようにボード内に収める枠のようなものがないため、もっと強烈な制限が必要でした。
そしてその後、試行錯誤しながらたどり着いたのが、広げすぎると減点、失点してしまうというジレンマです。

そこにたどり着いてからは、一番大きく広げたエリアを完成させると貰えるボーナス、一番多くの数のエリアを完成させると貰えるボーナス、シンボルを4つ以上隣接させると貰えるボーナス、といった3種類のボーナス得点もすぐに生まれ(この頃にはシンボルも○+△に決定)、このゲームの得点システムが完成したのでした。これによりテスト段階では2人プレイ以外できなかったのですが、3人でも問題なく機能するはずだと、製品版には堂々と「2-3人用」と表記してしまったのでしたw

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■アートデザインとコンポーネント
アートデザインについては、赤、青、黄という3色は当初から全く変わらず、それぞれの色を目立たせるためにその色そのものを強調しながらも、ゲーム中に担当色のブロックがいくつ隣接しているかをすぐに確認できるデザインにしたつもりでしたが、一部では派手すぎるという意見も頂きました。

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この頃はまだタイルスタンドには得点票の表記はなく、別にカードに表記していました。

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第2版からはこのように一番目の届きやすいタイルスタンドの裏面に得点表を貼り付けました。またタイルのデザインも従来の派手目から、若干のタイルずれがあっても目立たない黒をベースに、よりシンボルを目立たせるためにサイズを大きくするも、それが強調しすぎないように、またプレイ中に目が疲れないようにするため、白を使用せずにデザインを抜く形に落ち着きました。

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コンポーネントについてはもうこれに尽きますw
当初はデザインを仕事帰りに印刷屋さんのレーザープリンターで紙出力し、それをマグネットシートに貼り付けてカッターナイフで切り離していたのですが、あまりもの分厚さとL字形に切るのが面倒で、切り離す際にトナーが剥がれてしまうのでこの方法は断念。
そして時間は非常に費やすものの、比較的仕上がりが悪くない方法として、紙出力したものとマグネットシートを別々にL字形に切断後、マグネットシートの粘着テープを利用し、その上に微調整しながら紙出力したものを1枚1枚貼り付けていくという、時間がいくらあっても足りない非効率な方法をとる以外ありませんでした。
その結果、鉄とゴムをひたすらカッターナイフで切り刻む作業により、両指腱鞘炎という悲劇に見舞われ、完治するまで約半年かかりましたw

良い子は絶対にマネしないでね!

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正方形をL字形に切った際に出た大量の余り。

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たった28セットしか作れなかった初版では、ちゃんとこのように得点チップとして再利用w

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■L字タイルのサイズと量産
おかげさまで初版は2013年のゲームマーケット秋では小部数ながら約8分間で完売となりました。ただコンパクト化には成功したものの、とても量産には向かない製作方法だったので、随分悩んだ末、妻に製作資金を借り、ボードゲームの印刷に長けていらっしゃる萬印堂様で、一から専用の金型を作って頂くことになり、ようやく量産することができました。

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タイル配置といえば競技性の高いカルカソンヌやアブストラクトゲームのブロックスが有名ですが、これらと比較するとカルカソンヌのタイルは45o、ブロックスのこのピースの長辺は約30o、エルタイルズのL字タイルの長辺も30oになります。

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手の大きい方には若干小さく感じられるサイズですが、紙タイルにしてからは軽量になり、どのようなタイル配置になっても比較的省スペースで遊べる点と、新版(第2版)までは余りにもコンパクト化を目指したため、タイルを化粧箱に直す際にきれいに組み合わせないと収まらないという意見を参考に、最新版(第3版)では化粧箱を少し大きくし片付けが楽になりました。それでもタイルがコンパクトなので、持ち運びも軽くて荷物になりません。

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得点チップの改良
当初はゲーム終了時に得点化する方が良いのか、それともカルカソンヌのように得点トラックを用意し、手番終了時にその都度得点していく方が良いのか、これも随分悩みました。
ただこのゲームは相手の長考もプラスに変えられる(特に3人プレイでは慣れると相手の手番時に、現在の全員の得点を計算できる時間があるため)ので、ゲーム終了時の方が良いと判断し、得点チップを用意することにしました。

第2版(左)で使用した四角チップはL字形タイルに合わせて直線的な四角チップにしたのですが、その上に乗せると視認的に若干見辛い感があったため、最新版(右)では円形チップに変更し、裏面も今までの白(絵柄無し)からバーストした際に使用する「0点」にしました。

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そうしたことでゲーム終了時に一番多いエリア数であれば獲得できる、最多エリアボーナスの獲得者を決める際、ボーナスチップ(緑3点)を除いた上で、このバーストチップを含んだ獲得チップ数の一番多いプレイヤーがその権利を得るのというのが、すぐに明確に分かるようになり、円形チップを乗せた時の視認性もUPしました。

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■その後の展開
その後、拡張タイルセットとして4種類の特殊タイル全15枚(左上の9枚は基本セットに同梱している拡張タイル)と、タイルスタンドを増やすだけで4人でも遊べるペア戦の実現、そしてポストカード2枚を組み合わせてボードに見立て、1色の基本タイル24枚から18枚を取り出し、裏向き状態から1枚ずつ引いて配置していく、1人用のソリティアも作りました。

■最後に
予想通り、ただのエルタイルズのデザイナーズノートと宣伝になってしまいましたねw
アブストラクトというどちらかというと地味にとらわれがちなジャンルですが、将棋、囲碁、チェス等のように完全情報ゲームで、偶然要素が無いゲームは、人を選びますが、戦略性が高く、自己解析できるところが長く遊ばれ続ける部分だと思っています。
ただそうでなくても、タイルの引き運もあり、ファミリー向けに手軽に遊べるゲームでも、もしかしたら長く遊ばれ続ける可能性はあるかもしれません。
エルタイルズがそういう作品になれるかどうかは分かりませんが。

長々とここまで中身のない話にお付き合い頂き、有難うございました。

最後にここまで来たら開き直ってもう2つ宣伝させて頂きますw

@第2回★エルタイルズ大会(1月23日(土)午後2時から5時まで)が、盛況だった第1回大会に引き続き、大阪長堀橋のボードゲーム&フィギュアショップDDT様にて開催されます。
※前回の3人戦×3回戦とは違い、2人戦×4回戦のスイスドロー方式を予定。
A来年2月21日に開催される「ゲームマーケット2016神戸」にも小部数ですが最新版(第3版)の出展を予定。

posted by かぶけん at 19:26| Comment(0) | エルタイルズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする