この記事は、Trick-taking games Advent Calendar 2015 の第22日目の記事として書いたものです。
■はじめに
「ゲームNOWA」という創作アナログゲームの個人サークルでコツコツと地味な作品を作り続けている、かぶきけんいちことかぶけんです。
実は勢いでこの企画に参加させて頂きましたが、トリテはボードゲームの中でも好きなジャンルで、ボトルインプを筆頭に、インシディアス7、ウィザード、ゼロの恐怖、ペッパー、スカルキング、知略 悪略、ダビデとゴリアテ、トランプトリックゲーム!、ポテトマン、ヤギ戦争等がお気に入りです。
今回は「ゲームマーケット2012秋」で出展した、サークル初のトリックテイキングゲーム「ぴったりヤドカリ」について書きます。
■何故この作品なのか
リリースはしたものの、
・プレイ中どうすれば良いのか分からない
・手札で勝ち負けが決まってしまう
・得点計算が面倒
といった意見を時々耳にしていました。
ただもう3年も前の作品ですので、全く遊ばれなくなることも不思議ではないわけですから、そのままそっとしておいても、それはそれで仕方がないのかもしれませんし、作り手としては既に製品化した以上、ルールを変更して息を吹き返したいというような考えはありません。
ただ、それでもこのまま忘れられてしまうのは少し残念でしたので、最近になって何度かテストプレイを重ねた結果、トリテ初心者にも楽しんで頂けるようなヴァリアントルールが出来ました。この企画の趣旨に合わないかも知れませんが、紹介させて頂けたらと思います。
■どんなゲーム?
このゲームのテーマはヤドカリたちのお家探しです。トリックとよばれるミニゲームを規定回数行い、トリックで獲得したヤドカリカードと貝がらカードでペアを作り、それを得点化します。
ヤドカリより貝がらの方が大きければペア(1点)にできますが、ヤドカリより貝がらの方が小さければペアにできません。
また、ペアにも貝がらよりヤドカリの大きさが「1」だけ小さい、ほぼぴったりペア(3点)、ヤドカリを成長(ヤドカリの大きさを+13する)させて貝がらと同じ大きさになる、ぴったりペア(5点)があり、完成すると通常のペアより高得点になります。
ただし、ペアにできなかったヤドカリ1匹につき、−1点。
というのが得点システムです。
カードの構成は下記のとおりで、
ヤドカリカード12枚
貝がらカード17枚(うちイソギンチャク付き貝がらカードが5枚)
成長カード3枚
タコカード4枚
このようにある一定の法則で成り立っていますが、これ以降の詳しいルールはお手数ですがこちらをご覧下さい。
■マストフォローだけどフォローできなくても勝てる
トリックの一番最初に出されたカードをリードとよぶのですが、可能であればこのリードと同じスート(色・マーク等)を必ず出さなくてはいけないマストフォローというルールである場合、一般的にはフォローできなければ何を出しても良いのですが、それが切り札でない限り、まず勝つことはありません。
ですがこのゲームでは出されたカードの中で、1番高いランク(数字)が勝つのです。
このあたりが、トリテ経験者には釈然としない部分だと思います。
■得点計算が面倒
獲得したカードをペアにして得点化するという、トリテ以外にセットコレクション(指定された組み合わせを集めることを目的としたシステム/ゲームストア バネスト様の用語集から拝借)の要素があり、その計算をゲーム終了時に行うため、獲得したトリック数があまりにも多い場合、ゲームに慣れていないとペアの組み替えに時間を費やしてしまうおそれがあります。
■ヴァリアントルール
そこで、得点計算を最後に行うのではなく、各トリックごとにペアの成立・不成立を判定していけば、上記の問題を解決できるのではないかと思い、以下のルールを考えました。
@従来通りランク(数字)の1番高いカードを出したプレイヤーがそのトリックに勝つのですが、その時に獲得したカードでペアが作れるかを確認し、作れる場合、それらを表向きのまま重ねて得点とします。
作れない場合、その不必要なカードは裏向きに伏せておきます。
A獲得したトリックの中で、ヤドカリカード以外に成長カードが含まれていた場合、必ず成長させなければなりません。
B従来のルールではペアにできなかったヤドカリカードは1枚に付き−1点でしたが、このルールではそのようなペナルティはありませんが、ゲーム終了時に、単独で1番多くタコカードを獲得したプレイヤーは−1点になります。
Cミゼール(1つもトリックを取らない、手元に1枚もカードがない)については単独で達成すれば、1番得点が高いプレイヤーと同数の得点を獲得しますが、複数人が達成した場合は「0点」になります。
以上が4人でプレイする場合のヴァリアントルールで、3人でプレイする場合は以下になります。
@トリックで獲得した成長カードとイソギンチャク付き貝がらカードは、そのトリックで必ず使用する必要はなく、ゲーム終了時までに獲得したトリックの中で使用出来れば問題ありません。
例えば、2トリック目に取った成長カードをその後に獲得した5トリック目で使用、というようにストック出来るわけです。
Aイソギンチャク付き貝がらカードはゲーム終了時に残っていてもペナルティはありませんが、成長カードは使用できずに終了すると、1枚に付き−1点です。
■最後に
現状のルールを気に入って下さっている方には迷惑な話だったかもしれませんし、既に絶版になってしまった作品なので、今お持ちでない方にはどうでも良い話だったかもしれませんが、少なくとも遊びやすくはなったと思っています。
実際、トリテを遊ばれたことない方がこのルールで本作品を遊んで頂いた時に、最初はどうしてよいか分からなかったけど回数を重ねる度にトリテの面白さが分かってきたと仰られていました。
現在、関西のみになりますが、キウイゲームズ様、カフェミープル様、DDT様、デザートスプーン様、ディスカバリーゲームズ様(有志の方が寄贈)等ではプレイ用として置かせて頂いていますので、もし機会がありましたら、ヴァリアントルールでも遊んで頂けると幸いです。
長々とお付き合い頂き、有難うございました。
2015年12月22日
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